子宮筋腫
子宮筋腫って、どんな病気なの?
子宮筋腫とは、子宮筋層にできるこぶのような良性の腫瘍のこと。腫瘍というと悪性腫瘍(がん)を想像しがちですが、それとは異なるものです。子宮の壁は、一番外側が漿膜、次に筋層、内側が粘膜(内膜)でできています。子宮筋腫は、この三層のどこにできるか、どの方向に発育するかによって症状が違ってきます。いろいろな種類、大きさの筋腫が複数個できることが多く、筋腫が大きくなるにつれて子宮が巨大化します。
子宮筋腫の種類
A漿膜下筋腫
子宮の外側に突出するので症状が出にくい。きのこのように茎を持つタイプもあり、ねじれて激痛を生じることもある。
B粘膜下筋腫
子宮内膜にでき、内側に向かって発育する。小さくても症状が強く、過多月経、強い生理痛をともなう。不妊の原因にもなりやすい。
筋腫分娩
茎を持つ粘膜下筋腫が子宮口から腟に飛び出してしまうこともあり、陣痛のような激痛が起きる。
C筋層内筋腫(壁内筋腫)
子宮の筋層内にできる。最も多いタイプで、いろいろなところにいくつもできやすく、大きくなるにつれて過多月経や強い生理痛を引き起こす。
出典: 主婦の友社 「月経痛と月経困難症」(P55)
子宮筋腫の症状は?
小さなものでは自覚症状がないこともありますが、実際には成人女性の4人に1人が持っているといわれています。
筋腫が大きくなるにつれて、過多月経の症状が出てきます。レバーのような血の固まりが混じって出てくるのが特徴です。また、生理期間が長引くことや、不正出血が見られることもあります。生理痛もひどくなります。出血のために貧血になると、息切れ、めまい、倦怠感などの症状を伴うようになります。
さらに筋腫が巨大化すると周囲の臓器を圧迫し、下腹部痛、腰痛、排尿障害、便秘などの症状が出てきます。筋腫のタイプによっては不妊や流産の原因になることもあります。気になる症状があれば放置せず、婦人科を受診しましょう。
子宮筋腫の治療方法は?
特につらい症状がなく、筋腫がまだ小さい場合には治療をせずに様子をみます(経過観察)。一般的に、軽い症状の場合は薬物療法がとられます。鎮痛薬や造血薬などを利用する対症療法と、卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌を抑えるホルモン療法があります。
手術療法には、筋腫のみを取り除く子宮筋腫核出術と、筋腫を子宮ごと取り除く子宮全摘出術があります。
薬物療法や子宮筋腫核出術では再発の可能性も残りますが、妊娠することは可能です。その人の年齢、症状の程度、出産の希望、病巣の範囲などに合わせて治療法が選ばれます。