貧血と生理の関係
女性の貧血について知っておきたいこと
貧血は女性に多く、めまいや疲れやすさなど、さまざまな不調が現れます。
症状がない方でも、貧血をきっかけに隠れている病気が見つかることもあります。
貧血を軽く考えずに、健康診断で貧血と言われたら、まずは医師に相談しましょう。
血液検査の値(ヘモグロビン値)と貧血の重症度
女性では、ヘモグロピン値がおおむね11g/dLになると治療が必要とされます。
ヘモグロビン値(g/dL) | 重症度 |
---|---|
11.4以上 | 貧血はありません。 |
10〜11.4未満 | 軽い貧血があります。 お食事などで鉄分を意識的に補いましょう。 |
治療が必要 | |
7〜10未満 | 強い貧血があります。 お食事に頼らず、まずは病院で検査・治療を受けましょう。 |
5〜7未満 | 輸血が必要な重症の貧血です。 直ちに医師に相談してください。 |
※基準値は施設ごとで異なる場合があります。
日常に潜む貧血の症状
貧血はゆっくり進行するため、体が慣れてしまい、意外と平気で生活している女性がたくさんいます。
思い当たる症状がないか、チェックしてみましょう。
貧血の症状チェックリスト
以下の質問に1つでも該当していたら、貧血の可能性があります。 あてはまるものがないかセルフチェックしてみましょう。
- (階段を駆け上がると)立ちくらみやめまい、動悸・息切れがする
- 氷をバリバリと食べたくなる(異食症)
- ちょっとした動作でも疲れやすい、身体がだるい
- 爪が弱い
- 頭痛や頭重感がある、物忘れが多い
- 髪の毛が抜ける、薄くなった
- 味を感じにくい
- 平常時でも脈が速い、落ち着かない
貧血の症状がおこるしくみ
血液の成分であるヘモグロビンは、臓器へ酸素を運ぶトラックです。
これが少なくなる(貧血)と、臓器への酸素の供給が減り、様々な症状が起こります。
また、酸素の薄い血液で全身に酸素を送るために、心臓は心拍数を増やして送り出す血液量を増やそうとします。
そのため、心臓に負担がかかり、長い間放置すると心不全につながるおそれもあります。
トラック(ヘモグロビン)が多ければ
たくさんの荷物(酸素)を運ぶことができる
トラック(ヘモグロビン)が少ないと
急いで荷物(酸素)を運ばなければならない
まずは婦人科と消化器科で相談を
貧血には原因によっていろいろな種類がありますが、日常、診断される貧血で最も多い(貧血の 90%以上)のが、体内の鉄が足りなくなることによっておこる「鉄欠乏性貧血」です。
女性の場合は月経の量が多すぎること(過多月経)による貧血が最も多く、次に多いのが消化管からの出血によるものと言われています。
その他の原因としては、腎臓や血液の病気などがあります。
貧血の原因
鉄欠乏性貧血 | 出血による鉄の喪失 | 胃や大腸などのがんや、腫癌・痔による消化管出血 月経による出血が多い(過多月経) |
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鉄の吸収不足 | 胃粘膜の異常や胃切除などによる鉄 吸収障害 |
|
鉄摂摂取量の不足 | 偏食やダイエットで食事からの摂取量が不足している | |
鉄の需要の増加 | 妊娠中や授乳期など | |
再生不良性貧血 巨赤芽球性貧血 溶血性貧血 |
血液の病気により血液や赤血球がうまく作れなくなる 赤血球が異常に早く壊される |
婦人科で調べてくれること
毎月おこる生理による失血は思いがけず多いものです。
子宮は筋肉でできていて、ギュッと収縮することで生理の出血を少なくします。この働きが弱くなるような子宮の病気がないか、病気がなくても生理の量が多すぎないかを調べます。
消化器科で調べてくれること
①胃粘膜の炎症や腫瘍
鉄は胃から吸収されるため、胃粘膜に異常があると吸収がうまくできなくなります。
そのため、胃粘膜に炎症や腫瘍がないか調べます。
②消化管出血
胃や大腸の異常により、消化管出血が起こっていないか調べます。
③痔
痔などがないか調べます。
婦人科と消化器科で異常がない場合は、内科(腎臓内科・血液内科など)を受診してください。
骨髄・腎臓・脾臓・血液の病気の可能性があります。