ピルをやめてからなんだか調子が悪い?
今だからこそ知っておきたいピルを服用中止したときの注意点
生理痛を抑えることを目的に低用量ピルを飲み始めたものの、服用を中止してしまったという方は少なからずいます。やめてしまった理由は様々ですが、やめた後で生理痛や出血量の多さが再発したことで、またピルを飲もうか悩む人も。
しかし、ピルの服用の中止によって現れるのは、生理痛の再発や出血量の増加だけではありません。目には見えない体の内側では、子宮内膜症が進行していたり、血栓症のリスクが上がっている可能性があります。
ピルをやめてしまった人の声
自分がピルをやめてしまったのは何が原因だったのでしょうか。以下では、ピルをやめたきっかけや理由を紹介します。もしかしたら、ピルの服用を中止した原因は、ひとつだけではないかもしれません。
病院が遠い・待ち時間が長い
ピルをやめてしまった女性の中には、「ピルがそろそろなくなるけれど、病院も遠いしピルをもらうにも時間がかかる…。」と、病院の遠さや、病院での待ち時間が原因となっている方もいます。
とくに土日の産婦人科は、平日に病院に来れない患者さんが集中するため、薬をもらうだけで半日かかってしまうことも珍しくありません。実際に、患者さんの不満についても調査している厚生労働省の「受療行動調査」では、外来患者さんの不満のトップが「待ち時間」であると報告されています。
ピルはほぼ毎日飲む薬のため、定期的に産婦人科に訪れなければなりませんが、毎日あわただしく過ごす現代の女性たちにとって、通院や待ち時間などで拘束されるのは大きな課題となります。
病院の医師やスタッフが合わなかった
病院の医師やスタッフなどの雰囲気が自分に合わず、ピルをもらいに行くのが億劫になってしまったというケースもあります。
例えば、医師やスタッフの配慮の欠けた言葉に傷つき、「あの病院にはもう行きたくない…」と思ってしまい、ピルをもらいに行くのを断念してしまう場合も。
産婦人科では、デリケートな話をする機会も多いため、医師やスタッフなどの病院の相性が非常に重要です。
副作用がつらい
ピルをやめてしまった理由として、副作用のつらさを挙げる人もいます。ピルの副作用の中で、患者さんが「つらい」と感じることの多い症状として、不正出血や吐き気、体重増加、気分がすぐれないなどが挙げられます。
ピルの服用と気分変調、体重増加との間に因果関係はないとされていますが、実際に自分の身に症状が起きると、「ピルを飲んだ影響なのでは?」と考えてしまうのも当然かもしれません。
また、ピルの副作用が強く出た場合、産婦人科自体に不信感を抱いてしまい、受診を拒否してしまうケースもあります。
ピルを代を含めた通院費が高い
ピルをやめてしまった理由としては、ピルや検査などの産婦人科で発生する費用の高さも考えられます。
ピルは毎月費用かかるるため、積み重なると意外と出費がかさむものです。また、ピルは毎月もらいに行くのが手間という人は、3か月分のシートをまとめて処方してもらうケースもあるため、一度に支払う金額がぐっとあがり、手持ちの現金が足りるか不安になったという人もいるでしょう。
さらに、ピル代以外にも、子宮頸がんなどの定期健診代や、血液検査といった費用が発生する場合もあるため、「ピルを止めれば産婦人科の通院費が安くなる」と考え、服用を中止してしまう可能性があります。
ピルを飲み忘れる
ピルをやめた理由としては、ピルの飲み忘れを挙げる人もいます。
とくに、ピルを飲み始めたばかりのころは、服用の習慣がないため、飲み忘れがたびたび起きてしまいます。また、長期にわたってピルを飲んでいても、朝の支度が忙しくて飲み忘れてしまったり、旅行先にピルを持って行くのを忘れたりする場合も。
服用できない日数が続くと、「ピルを飲まなくてもいいのでは」と考え、自己判断でピルの服用を中断する方もいます。
妊娠を希望している
妊娠を希望してピルの服用をやめる人もいます。
生理痛などの月経関連症状を緩和するためにピルを服用している場合、妊娠成立までの間、以前と同じような生理痛や体調不良が現れることは避けられません。
また、月経関連症状の背後に子宮内膜症などがある場合は、ピルをやめたことで病気が進行してしまい、ピル服用前よりも生理痛が重くなる可能性もあります。
ピルをやめるのは注意点がいっぱい⁉生理痛が再発するだけじゃない!
ピルの服用をやめた方の中には、すでに腹痛や腰痛などの生理痛を感じている方もいるでしょう。しかし、ピルをやめたことによるリスクは、生理痛が再発するだけではありません。以下では、ピルの服用を中止すると起こりうる注意点やリスクについて解説します。
生理痛や過多月経が再発する
ピルの服用を中止すると、当然のことですが、服用を始める前の生理痛や経血量に戻っていきます。例えば、生理痛の痛みが再発して、仕事やプライベートに支障をきたしたり、気分の落ち込みを感じる頻度が高くなるかもしれません。
子宮内膜症などの病気が進行する可能性
ピルの服用を中止すると、今まで進行を抑制していた子宮内膜症や子宮筋腫、子宮腺筋症などの病気が進行する可能性が高まる可能性があります。
また、下腹部痛や腰痛などを主訴とする月経困難症の患者のうち、約7割が子宮内膜症とされているため、病気の進行に合わせ、生理痛の症状が重くなっていく可能性も考えられます。
子宮内膜症では、生理期間中以外での下腹痛、腰痛、排便痛、性交痛などを普段の生活にも影響を与える可能性があるため、生理痛の重さと比例して、体調を崩す日が増えたという方は注意が必要です。
中止・服用を繰り返すと血栓症リスクに
ピルの服用を4週間以上中断して、再度ピルを服用した場合、血栓症のリスクが高くなることが報告されています。
血栓症とは、血管が血の固まりによって、突然閉塞する病です。深部静脈血栓症や肺塞栓などにつながる可能性があります。ピルの服用と中止を繰り返すと、命にかかわるリスクがあることは認識しておきましょう。
他の避妊方法を検討する必要がある
ピル服用中は妊娠しにくい状態になっています。ピルの服用を中止したあとも避妊が必要であれば、コンドームの使用などの代替方法を考えなければなりません。
ピルとコンドームの避妊失敗率を見ると、ピルが0.3%、コンドームが2%と、コンドームの方が避妊失敗率が高いことがわかります。ピルをやめることは、生理痛が重くなったり出血量が増えるだけでなく、妊娠のリスクが上がってしまうのです。
ピルの副次的作用が失われる
ピルには、ニキビや肌荒れを改善するといった副次的な作用のあることが知られています。服用中止によって、それまで抑えられていたニキビや肌荒れの状態が悪くなってしまう可能性も考えられます。また、ホルモンのバランスが急に変わる影響で、抜け毛が増えるとも言われています。
ピルをもう一度服用する前に!自分にあった病院やピルを選ぼう!
「一度ピルをやめたけれど服用を再開したい」という方は、自分に合った病院やピルを選ぶことが大切です。前回と同じ病院で同じピルをもらった場合、またピルをやめてしまうことになるかもしれません。以下ではピルを続けるための選択肢をいくつかご紹介します。
予約ができる産婦人科を選んで待ち時間を短縮する
待ち時間の長さが原因で、ピルの服用をやめてしまったという方は、事前予約ができるクリニックを選ぶといいでしょう。
予約した時間に病院に行けば、短時間で診察してくれるため、待ち時間の煩わしさを軽減してくれます。また、病院によっては、何時ごろの診察になるかや、待っている人数をスマホから確認できるシステムを導入しているところもあるため、ずっと待合室にいる必要がありません。
予約がなく混雑した産婦人科では、ピルを受け取るために1日のスケジュールを組む必要がありましたが、予約ができる産婦人科なら、時間を無駄にすることなくピルがもらえるのが魅力です。
口コミを見て合いそうな病院を見つける
病院の医師やスタッフと合わず、ピルをもらいに行くのをやめてしまったという方は、違う病院に行く前に、口コミをチェックするのがおすすめです。
検索サイトや口コミサイトを見ると、実際に病院を利用した方のリアルな口コミを確認できます。「医師が冷たく相談ができなかった」「スタッフの対応が悪くいやな気持になった」など、自分と相性が合わなさそうな産婦人科を事前に避けられるはずです。
オンライン診察ができる病院を選ぶ
待ち時間の長さや病院の遠さから、病院に行く時間が取れないという方には、オンライン診察に対応した病院を選ぶのがいいでしょう。
オンライン診察では、事前に予約した時間に、電話やウェブ会議ツールを使って医師と話したうえで、ピルを処方してくれるので、家にいながら診察を受けられます。自分がピルを受け取りたいと思ったときに、すぐに予約がとれるのも魅力です。
なお、オンライン診療の結果、検査や触診などが必要になる場合も考えられます。そのため、病院がどこにあるかも事前に確認しておくといいでしょう。
違うピルに切り替える
飲んでいたピルの副作用がつらく、ピルの服用をやめてしまったという方は、違うピルに変えてみるのがいいでしょう。
低用量ピルの中にはいくつか種類があり、例えば、28日周期で休薬する必要があるものや、最長120日連続服用するタイプなどがあります。現在服用しているピルを副作用のために飲み続けられないとしても、ほかのピルに変更することで、副作用が低減され服用を継続できることもあります。
困っていることがあれば、すぐにやめるのではなく、ほかの選択肢がないか医師に相談しましょう。
価格が抑えられたピルがないか相談する
ピルの費用が課題となって服用をやめてしまったという方は、ほかに価格が抑えられたピルがないか相談してみましょう。
ピルは複数種類があるため、病院によってはお財布に優しいピルを提案してくれるかもしれません。また、子宮内膜症などの疾患がない場合は、痛み止めや漢方など、別のアプローチを提案してくれる可能性があります。
ピル以外の選択肢がないか確認する
妊娠希望のために、ピルの服用をやめたものの、生理痛など悩まされていると感じている方もいるでしょう。その場合は、産婦人科でピル以外の生理痛を改善する方法はないか相談するのもおすすめです。
鎮痛薬や漢方薬、黄体ホルモン剤、などから、症状や疾患に合わせてお薬を処方してくれるはずです。
自己判断でピルの服用をやめてしまった場合、子宮内膜症などの疾患が進行している可能性もゼロではありません。症状に合わせて治療をするためにも早めに病院へ行くようにしましょう。
ピルを再開するのがなんだか不安。ピルを病院でもらう際のワンポイントアドバイス
ピルを再開したいけれど病院で何か言われたらいやだなと感じている方もいるでしょう。そこで、ピルを一度やめてから再び服用を開始したことがある経験者に、産婦人科でどんなことを聞かれたのかや、病院への伝え方のポイントを伺いました。
過去にピルを飲んでいたことはきちんと伝える
ピルを再開したいときには、以前と同じ病院であっても、違う病院だったとしても、過去にピルを飲んでいた旨をしっかりと伝えましょう。
ピルの服用再開には少なからずリスクがあるため、病院に事前に共有するのが安心です。
病院から「なぜやめてしまったのか」や「服用をやめてからどれくらいの期間がたったか」など聞かれることが考えられるため、正直に伝えるようにしましょう。
副作用があった場合は症状を共有する
不正出血や吐き気などの副作用によって、ピルをやめてしまっていた場合は、症状を医師へ伝えるようにしましょう。
また、違う種類のピルがないか確認するのも大切です。同じピルを再び処方されてしまうと、以前と同様の副作用が出てしまう可能性があります。
なお、ピルの副作用としてよく上げられる、体重増加と気分変調は、ピルの服用とは関連がないことがわかっています。もし、普段の生活と何も変えていないのに体重が増加してしまった場合や気分がすぐれないといった悩みが出てきた場合は、別の原因がある可能性が考えられます。
使いたいピルがある場合は希望を伝える
最近ではピルの種類が増えたことで、ピルを選べるようになりました。そのため、もし飲みたいピルがある場合は、医師にその旨を伝えてみましょう。
例えば、ピルの中には最長120日間連続服用が可能なピルがあります。このピルを服用すると、生理を最長で4か月に1回にできるため、生理痛やPMSが起きる回数自体を減少させられます。
産婦人科のホームページを見ると、取り扱いのあるピル掲載している場合があるので、気になるピルがある方は、事前に確認してみましょう。
ピルの服用に関する不安ごとはその場で相談する
ピルに対して不安がある場合は、医師やスタッフに相談するのも大切です。
ピルを飲み忘れたときの対策法や、休薬期間の数え方、ピルを飲み忘れないようにするポイントなど、過去に自分が感じた悩みをどんどん質問しましょう。医師の方に話しかけにくい場合は、看護師などのスタッフに聞くという手もあります。
ピルは一度服用を開始すると、ほぼ毎日飲む必要がある薬です。ピルとうまく付き合っていくためにも事前に不安を払しょくしましょう。
ピルの再開前に自分に合った病院探し・ピル探しから始めよう
ピルの服用をやめた背景には、病院が原因だったり、ピルが原因だったり、または病院とピルの双方が原因だったりと人によってさまざまです。
もし、再度ピルを服用開始したいなら、自分がピルをやめてしまった原因は何だったのかを再確認し、自分と相性のいい病院を探したり、ほかのピルを検討したりと、ピルの継続がしやすい環境を検討してみましょう。
例えば、病院の口コミを見て事前にどんな病院か把握したり、これまで飲んでいたピルとは違うピルを取り扱う病院に相談しにいってみるのも大切です。
ピルの服用は、時間もお金もかかりますが、それ以上に、生理が来た日もスケジュールを振り回されずに1日を過ごせるなど、より自分らしく生活するための心強い存在といえます。ピルの服用をやめてから体調不良を感じることが多くなってきたという方は、ぜひもう一度、産婦人科を受診してみてはいかがでしょうか。