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性交痛、生理痛にご用心!
夫婦に忍び寄るリスクとは!?

性交痛、生理痛にご用心!

以前はそれほど気にならなかった性交痛が最近我慢できない…。しかも生理痛も年々重くなってきている気がする…。夫に言ってもほとんど無反応。もっと向き合ってほしいのに…。

ひとには相談しにくい性の話や生理の悩みが、知らず知らずのうちに夫婦の仲に影を落とすことも。次第に性交痛や生理痛がしんどくなってきたという方は、もしかしたら「子宮」に原因があるかもしれません。

仲良しでいたいのに、「痛み」のせいで気まずくなっていない?

結婚して、世界中の誰よりも幸せということはないけれど、人並みの幸せを重ねてきた夫婦。それが「痛み」のせいでつまずいてしまうなんて…。「性交痛」と「生理痛」という女性の痛みはご本人だけの問題ではありません。

性交痛でせっかくのスキンシップが苦痛、または疎遠に…

性交痛のために夫婦のスキンシップがひと苦労。「今日はちょっと体調が…」「生理前だから…」「いま仕事が大変で…」と言っているうちに、夫との間に微妙な空気が流れだして、セックスレスになってしまうことも。「性交痛がある」なんて伝えたら、相手を傷つけてしまいそうで言い出せないけど、性交痛を考えるとセックスが遠のいているのも事実。

上記のように、性交痛に悩んでいる女性は意外と少なくありません。20代~40代の女性の6割以上が性交痛を経験したことがあると回答しています。とくに性行為後に下腹部や膣の奥に痛みが発生する場合は、病院へ行くひとつの目安。子宮内膜症などの疾患による痛みの可能性があります。

家事に育児。夫婦の時間がますます減っている

寝ていると少しは楽になる痛み。でも、ずっと寝てなんかはいられない。家事はもちろん、育児も休むわけにはいかないから夫婦の時間はもっと少なくなっていく。夫も多少は協力してくれるけど、生理中はいつも以上にイライラしてしまってけんかが増え気味。せめて、この痛みさえなければいいのに…。

痛みを我慢しながら家事や育児を頑張るのは普段以上にしんどいものです。こういった痛みは、異性に理解してもらうのが難しいため、けんかの原因のひとつとなります。夫婦の関係を良好にするためにも、痛みの原因を探ることが大切です。

生理痛がツラくて、デートに行けない

生理痛がひどいと、立ったり動いたりするだけでひと苦労。以前はお休みが合うと出かけることも多かったのに、今では痛みの不安が先に立ってしまい、予定を延ばし延ばしに。いつまでも昔のような恋人同士でいたい気持ちはあるけれど、痛みに耐えながらのデートはちょっと…。

以前は生理が来てもそんなに影響がなかったのに、年を重ねるごとにだんだん生理痛が重くなってきたという方は、子宮内膜症などの疾患が影響しているかもしれません。日常生活に支障をきたしたり、予定をキャンセルするほどの痛みは我慢せず、早めの受診をおすすめします。

我慢しないで!産婦人科への受診の目安

我慢しないで!産婦人科への受診の目安

夫婦でできるセルフケアを行うことも大切ですが、そもそも性交痛があることは、当たり前ではありません。性交痛の原因のひとつには、子宮内膜症などの疾患が隠れている可能性があります。
また、子宮内膜症などの疾患がある場合、性交痛以外にも、生理中の出血量の多さや、下痢、腰痛、頭痛など、さまざまな症状が体からのSOSとして発信される場合も考えられます。
生理の痛みや出血量と比例して、だんだん体調が悪くなることが多くなってきたという方は、放置せず産婦人科に受診することが大切です。

腟の奥にひびく性交痛

性交の際に腟の奥に痛みが走るという場合、子宮内膜が子宮以外の卵巣や卵管にできてしまう子宮内膜症の可能性があります。ほかにも、子宮筋腫や、骨盤内の感染症が起きている場合もあります。さらに、卵巣がんの可能性も考えらるため、我慢すれば収まるからと痛みを放置せず、早期の受診をおすすめします。

月経の血液量が多い(過多月経)

過多月経が何らかの病気によるものである場合、子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症などの良性疾患(命にかかわることはない病気)のほか、子宮体がん、子宮頸がんなどの悪性疾患の可能性が考えられます。そのため、自分の出血量が当たり前と考えず、出血量が以前よりも増えたと感じる方は、産婦人科へ受診してみるといいでしょう。

月経期間中の下痢や軟便

月経は、子宮からプロスタグランジンという物質が産生され、子宮を収縮して子宮内膜をはがす生理的な現象です。このプロスタグランジンは“発痛物質”とも呼ばれていて、その作用が強い人ほど月経関連症状が強く現れます。またプロスタグランジンは子宮だけでなく、腸にも作用が及ぶことがあるため、月経に伴い下痢や軟便になりやすくなります。産婦人科では、プロスタグランジンの働きを抑えるような治療をうけることもできるので、便に関する症状を抑えることが可能です。

腰痛

生理痛のお腹の痛みとともに、背中にも痛みが走る人が少なくありません。ただ、腰痛という症状は、生理以外の原因で起きることも多く、また、はっきりした原因がなくてもよく現れる症状です。そのため、月経に関連して腰痛が起きていたとしても、そうと気付かずに見過ごされやすいものです。腰痛があると家事や育児、仕事へ大きな影響が生じてしまいます。腰痛に月経が関連しているのではないかと疑ったら、産婦人科を受診してみましょう。

吐き気や食欲低下、頭痛、めまいなども

そのほかに、月経関連症状として、お腹が張った感じや吐き気、食欲の低下、頭痛、疲労感や脱力感、めまい、動悸などの身体症状、あるいは、いらいらや憂うつ感、不安感などの精神症状が現れることがあります。

子宮内膜症以外の疾患が隠れている可能性も…!

子宮内膜症は、子宮の内側を覆っている膜である「子宮内膜」に似た組織が、子宮以外の場所に発生してしまう疾患ですが、ほかにも考えられる疾患があります。
例えば、子宮内膜が子宮の筋肉のなかに増殖する「子宮腺筋症」、子宮内膜が卵巣に生じる「卵巣チョコレートのう胞」、または良性の腫瘍である「子宮筋腫」は代表的な月経に関係する疾患でしょう。
ツラい生理痛などの症状を改善するためには、痛みの原因を正確に把握することが大切なため、早めの受診をおすすめします。

病院を受診、治療することで身体の負担を軽くしよう

産婦人科で行われる女性の痛みの治療法として、鎮痛薬、痛み止め、低用量ピル、漢方薬などによる治療があります。20~30代の女性にアンケート調査※したところ、生理による不調の対策として、医師から処方された薬を服用した経験がある人は、低用量ピルの利用が多いようです。

病院を受診、治療することで身体の負担を軽くしよう

低用量ピルはプロスタグランジンの産生を抑えることに加えて、排卵を抑えたり、子宮内膜が厚くならないように作用します。痛みの抑制目的だけでなく、子宮内膜症などの治療にも用いられる薬です。一般的な月経周期に合わせて28日間周期で服用と休薬を繰り返す飲み方と、最長120日連続で服用する飲み方があり、それぞれに特徴があります。

とくに、最長120日連続で服用できる低用量ピルは、従来のピルと比較して、月経の回数が減少するのが特徴といえます。仮に120日間連続で服用すると、最長で4か月に1度だけ生理がくる形となるため、生理の出血や痛みに左右されることなく、より自分らしく過ごせるようになるでしょう。

また、痛み止めは、痛みの原因となる物質(プロスタグランジン)の産生を抑えるように働きます。低用量ピルは、女性ホルモン(エストロゲンとプロゲスチン)が含まれている薬です。漢方薬は、じっくりと体質を改善するように働きます。このほか、薬の成分をゆっくり放出する合成樹脂を子宮の中に留置するという治療法もあります。症状に合わせて、医師と相談しながら選択できるので、自分のライフスタイルや、飲み合わせなどに合わせて治療法を決定しましょう。

産婦人科医に聞く、低用量ピルに関するQ&A

服用を続けると、どんなメリットがある?

低用量ピルは、痛みなどの月経に伴う症状に関係しているプロスタグランジンの産生を抑えるため、多くの患者さんにとって差し迫った問題である月経痛が緩和することに加えて、諸々の症状の改善に役立ちます。また、経血量を減らしてくれるため、経血漏れが気になって夜なかなか寝付けないといった不安が軽減されるでしょう。

服用を続けると、どんなメリットがある?

血栓症のリスクが高くなると聞いた

卵胞ホルモン(エストロゲン)には血液を固まりやすくする作用があります。そのため、低用量ピルの服用によって血栓症になる可能性はないとはいいきれません。中用量ピルとは異なり、低用量ピルではその作用は弱く、血栓症が起きる頻度も非常にまれとされていますが、完全に無視できるわけではないのです。そのため、血栓症を起こりやすくするほかのリスク因子、例えば35歳以上でタバコを吸う人、前兆のある片頭痛をお持ちの人、過去に血栓症の病歴がある人などに対しては、低用量ピルは処方されません。

吐き気や頭痛などの副作用があると聞いた

低用量ピルを飲み始めてからしばらくの間、吐き気や嘔吐、頭痛などが起きやすくなることが知られています。ただし、頭痛や吐き気などの症状は、しばらく飲み続けていると気にならなくなることが多いようです。体に合わないからと勝手に中断せず、軽快しなければ医師に相談して、薬に変更してもらうなど、ほかの治療法を検討しましょう。

太ると聞いた

低用量ピルを服用したからといって、体重が増えるといった因果関係は報告されていません。不安な方は、産婦人科の医師に相談し納得のいくまでしっかりと不安事を解消するようにしましょう。

子宮頸がんや乳がんのリスクが上がると聞いた

まず、低用量ピルの服用は、子宮頸がん発症のリスクに関係はありません。低用量ピルの服用によって、ヒトパピローマウイルス(HPV)の排除率が低下することから、HPV持続感染のリスクが高まる可能性はありますが、低用量ピルの服用が関係しているか否かに関係なく、子宮頸がん発症にはHPV感染が関与するため、性活動が高い人はリスクが上がるとされています。
また、低用量ピルが乳がん発症のリスクがあがる可能性があるのは本当です。しかし、低用量ピルを飲んだから絶対に乳がんになるということはありませんので、不安な方は、産婦人科でしっかりと相談しましょう。

生理痛や性交痛のせいで夫婦の将来が左右されるなんて

女性の生理痛や性交痛から考えられる主な病気と治療法について解説してきました。どちらの痛みも男性には理解してもらうのが難しいことが多い症状です。がまんは美徳でもなんでもありません。それどころか、何か重大な病気が起きやすくなったり、ご夫婦の仲に隙間風が吹き出したりしてしまう可能性さえあります。受診を先延ばししたりせずに、しっかり医療機関で診てもらいましょう。

「生理に関するアンケート」調査概要

マイナビニュース・マイナビウーマン調べ

  • 調査対象:20歳~39歳の女性 マイナビニュース・マイナビウーマン会員/生理による不調の対策で医師から処方されて薬を服用している(していた)有効回答数152名
  • 調査期間:2023年1月7日~10日
  • 調査方法:WEBアンケート