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婦人科で受けられる治療

医師の話が分かりやすくなる治療の基礎知識

治療を決定する前には、医師がそれぞれの治療法について丁寧に分かりやすく説明してくれます。とはいっても、聞きなれない言葉が次々に出てくるとなかなか理解しにくいもの。薬や手術についてほんの少し予習をして言葉の意味だけでも知っておくと、説明がぐんと理解しやすくなります。
ここでは、薬や手術で代表的な治療の種類と特徴をあげています。
自分の目的に合っている、興味があると思った治療法があれば、積極的に医師に相談してみましょう。

薬の治療

症状の程度や、体質によって薬の種類を選びます。

女性ホルモン薬
卵胞・黄体ホルモン混合剤(EP配合剤)

一般的に「ピル」とよばれているお薬で、卵胞・黄体ホルモン混合剤は、卵胞ホルモン(エストロゲン:E)と黄体ホルモン(プロゲステロン:P)の2種類の女性ホルモンを含みます。
女性ホルモンの分泌を抑え、排卵を抑えるとともに、子宮内膜が厚くならないようにして痛みの原因となる物質(プロスタグランジン)の産生を抑え、腹痛、腰痛、頭痛などを改善します。

飲み始めのマイナートラブルとして、吐き気、頭痛などがみられることがあります。
また、1万人あたり3~9人という低い頻度の副作用ですが、血栓症には注意が必要です。
ピルの中でも、副作用を減らすためにEの含有量を50㎍未満に減らしたものを「低用量ピル」といいます。
低用量ピルには、避妊を目的として自費診療で用いられる「経口避妊薬(OC)」と、月経困難症の治療を目的に保険適応で用いられる「LEP製剤」があります。LEP製剤には、より副作用を減らすためにEの含有量を20㎍まで減らした「超低用量ピル」もあります。
つまり、OCとLEP製剤はどちらもEP配合剤であるため、同時に服用はできないお薬です。
さらに、LEP製剤の種類には、毎月、月経のような出血を起こす周期服用タイプのものと、約3~4カ月間連続で服用し続けることで月経痛を伴う日数や出血日数を減少させる、連続服用タイプのものがあります。

OCとLEP製剤の違いについて
  • 低用量ピル(E含有量:50㎍未満)

避妊目的:経口避妊薬 (OC) 【自費診療】
月経困難症の治療目的:LEP製剤【保険適応】

  • 超低用量ピル(E含有量:20㎍)

月経困難症・子宮内膜症による痛みなどの治療目的:LEP製剤【保険適応】

周期服用LEP
  • 28日間の周期服用(服用期間+休薬期間=28日間)
  • 毎月、月経のような出血が起こる
連続服用LEP
  • 薬剤によって約3~4カ月間の連続服用が可能
  • 周期LEP服用時と比べて、出血の頻度が少ない
黄体ホルモン製剤

黄体ホルモン製剤は、子宮の病気がある場合に使用されます。子宮内膜の増殖を抑えます。また、病巣に直接働き病巣を小さくします。子宮内膜の増殖を抑えることにより経血量の減少や月経痛を緩和します。
月経時期以外の不正出血などが見られる場合があります。

IUS (子宮内黄体ホルモン 放出システム)

IUSとは、Intra Uterine Systemの略で、黄体ホルモンを子宮の中に持続的に放出する子宮内システムです。子宮の中に入れて使用します。子宮内膜に直接使用して、増殖を抑えることにより経血量を減少させたり、月経痛を緩和します。月経期以外の出血などが見られる場合があります。一度挿入すると最長で5年間効果が持続します。
2014年9月2日から過多月経治療の保険適用、2014年11月18日に月経困難症治療の保険適用が加わりました。

※IUSによる避妊については「避妊のススメ」をご覧ください。

IUSの作用メカニズム

IUSは、黄体ホルモンが子宮の中で持続的に放出されることで、子宮内膜に直接作用して、子宮内膜の増殖を抑えます。一度装着すると最長5年間効果が持続します。

子宮内膜の変化

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GnRHアナログ製剤

GnRH製剤は子宮の病気がある場合に使用されます。女性ホルモンの分泌を抑え、月経と排卵を止め、一時的に閉経状態をつくることにより病巣を小さくします。その結果、経血量の減少や月経痛を緩和します。更年期障害(のぼせ、ほてり等)に似た症状がみられることがあります。通常6ヶ月間続けて使用します。

ダナゾール製剤

ダナゾール製剤は子宮の病気がある場合に使用されます。女性ホルモンの分泌を抑え、月経と排卵を止め、一時的に閉経状態をつくります。また、病巣に直接働き病巣を小さくします。ひどい下腹部痛や腰痛等の症状を緩和しますが、肝障害、ニキビ、体重増加などが見られることがあります。通常4ヶ月間服用します。

鎮痛薬

痛みの元になるプロスタグランジンの産生を抑えて生理痛等の痛みを和らげます。生理痛がひどく、日常生活に支障が出るような時には服用するほうがよいでしょう。
市販薬もありますが、体質によってアレルギー反応がでる場合もあるので注意しましょう。

抗不安薬

月経前症候群(PMS)などでイライラ感や不安感の精神症状が強く現れた場合は、抗不安薬、抗うつ薬が処方されることもあります。精神状態を安定させます。

漢方薬

からだのバランスを整えて、体質を改善することで自然治癒力を高め、生理のトラブルを解消していきます。時間をかけて治療する方法ですが、速効性のある漢方薬もあります。

手術の治療

症状が重い場合や、不妊の原因になっている場合などは手術を検討します。
手術には病巣だけを摘出したり焼いたりする保存手術と、子宮、あるいは子宮・卵巣を摘出する根治手術とがあります。以前はお腹を切る開腹手術が一般的でしたが、最近では内視鏡(腹腔鏡、子宮鏡)を利用した、体への負担の少ない手術が増えています。
子宮内膜症や子宮筋腫で行われる腹腔鏡の手術では、おへその周りに数か所穴をあけ、腹腔鏡や器具を挿入し病巣を摘出します。
子宮内膜に対して直接おこなう治療としては、子宮内膜掻把術や子宮内膜焼灼術などがあります。

保存的手術

子宮内膜症などで、病巣だけをとりのぞく手術。妊娠の可能性は残りますが、再発の可能性も残ります。

準根治手術

子宮内膜症などで、子宮と病巣のある卵巣だけをとりのぞく手術。妊娠の可能性はなくなり、再発の可能性は残ります。

根治手術

子宮内膜症などで、子宮と卵巣をすべてとりのぞく手術。妊娠の可能性はなくなりますが、再発もありません。更年期のような症状が出る場合があります。

子宮筋腫核出術

子宮筋腫などで、筋腫のみをとりのぞく術。妊娠の可能性は残りますが、再発の可能性も残ります。

子宮全摘術

子宮筋腫などで、筋腫を子宮ごととりのぞく手術。妊娠の可能性はなくなりますが、再発もありません。

おもな手術の方法

開腹手術

メスを使用して腹部を切開し、病巣などをとりのぞく手術。傷口が大きく、手術時の出血も多くなります。

腹腔鏡下手術

腹腔鏡を使用して病巣などをとりのぞく手術。傷口が小さく、手術時の出血も少なくなります。痛みも少なく、術後の回復も早いといわれますが、病巣の状態によって適さない場合もあります。

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子宮内膜掻爬術

急性の大量出血の処置として、子宮内膜をかき出すことにより出血を止める治療法です。一度治療を行っても1~2周期で再発するため、実施後は薬物療法を行う必要があります。

子宮内膜焼灼術・マイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)

子宮内膜を焼く装置を腟から子宮内に挿入し、子宮内膜をマイクロ波の熱で直接焼いて固まらせることにより経血量を減少させる治療法です。治療前後の子宮内膜の状態は子宮鏡で確認します。将来的に妊娠の希望がある場合には使用できません。

経過観察

子宮筋腫などで特につらい症状がない場合は、治療をせずに経過観察をすることがあります。その場合は、生理のトラブルを軽くするセルフケアや、生活習慣の改善などを行いながら定期検査を受けます。

その他の療法

子宮筋腫の外科治療には、足の付け根から動脈に細い管(カテーテル)を通し、筋腫に栄養を送る動脈を詰まらせ血液の流れを断つことで筋腫を小さくする治療法*も用いられる場合があります。
*保険適用外です

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